第54回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2021年にRevspeedコラムで掲載された記事です。

アカショウビンの軽やかな鳴き声で目が覚める・・・。

ここ西表島ではアカショウビンの飛来は夏を意味する。2009年~2011年の春まで西表島で暮らした。どうしてもしたかった憧れの島暮らし。

今年、奄美大島・徳之島、沖縄島北部そして西表島がついに世界自然遺産に登録決定の可能性が高くなってきたのだ。

日本最大の亜熱帯照葉樹林と独自の進化を遂げた固有種、絶滅危惧種の多様性生態系が見られる稀少地域なのだ。

西表島ではイリオモテヤマネコを筆頭にカンムリワシ、セマルハコガメと絶滅危惧種アイドル達の宝庫。島ではツアーガイド会社の現地所長として働いていた。

所長と言ってもデスクでふんぞりかえっているはずもなく、繁忙期には夏季限定バイトを6~7人雇用し、毎日海そしてジャングルを案内しながら携帯電話で予約の受付管理もやっていた。

繁忙期の忙しさといったら8月後半には若いバイト君達が体調を崩してしまうほど。海に潜りゲストを案内する。海ガメはマストで出会わせねばならない。笑

年数回、イルカの群れに遭遇!イルカ君達にはバイト代を払いたいくらいの感動をゲストにプレゼントできる。

カヤックツアーでは静かなマングローブ群落を濃いで、その後ジャングルトレック。秘境の先に現れる滝の絶景で汗と日常を水に流す。

いい事ばかりではない。天気、海況、潮位、予報を入念にチェックしゲスト人数とスキルを考慮しながらツアーの時間管理をしていく。

こと海でのスノーケルツアーは緊張の連続。1人で船の操船からアンカーリング、海中案内、昼食支度、無事終わればウェットスーツやゴーグルの洗浄と日中は本当に忙しい。

台風が来れば、その予報を読み取り何日までツアー催行可能か判断し、その翌日には船3隻をマングローブ内に移動、係留。カヤックは全て陸上へ上げ、ベースキャンプや車の風対策を施す。

930hpaの凄さ、風速70mの怖さはハンパナイ。港の大きなコンテナさえサイコロのように転がる。

台風明けのツアー再開、と思いきや次の台風が・・・。ちょいと心も折れそうになる。笑

ここまで書けば誰も優雅な島暮らしなどとは思わないだろう。それでも休みになれば、ウィンドサーフィンで鳩間島沖までぶっ飛び、船を出して、知らない海にタンクを背負って入り、またジャングルの先、そのまた先へと入ってみる。

休みとて暇などしなかった、多くのレース関係者やなんとレースファンまで来島してくれた。夜は満天の天の川を毎夜見て、オリオンビールと島(泡¥盛)で胃袋を満たしてクッタクタでベッドに潜り込む。

レースの世界オンリーで生きてきた。一般企業に勤めた事すらない。でも、大好きな自然と向き合って真から学習し失敗もしたけどこんなオレにも出来た。

一番大事なのは段取り。

これには予報チェックや準備が大半を占める。例えば1日の海ツアー、午前は南風穏やかだが、午後は上がる予報。潮位は午後満潮の150cm水位。ゲストは10名、海初心者内5名。

この情報だけで港へのルートやスノーケル講習時間、各スノーケルポイントでの滞在時間も逆算される。鳩間島での休憩後の集合時間は10名のゲストの為、実際の出発時間よりも5分前を伝える。(必ず遅刻する方がいる為。笑)

遊びも仕事も予測と段取り。これレースも同じ。昨年の富士24時間、スタート後2時間は経たないくらいで雨予報、GT4セカンドグループはペースを落として、燃費を確保、見事に雨が降り始めてからのピットストップだった・・・。

さ、今週末は自身3回目となる富士24時間レース。BMW Team StudieからM2CSで1クラスへの参戦となる。

相棒達は、またか!の木下アニキ、そしてRev読者にはお馴染みの大井貴之先輩、これまたジャーナリストのマタンキーこと山田弘樹、そして砂子塾事務局長コッチーこと東風谷選手だ。

24時間には強烈な運も必要だ。今年の女神は熟女であって欲しい・・・笑


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