第53回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2020年にRevspeedコラムで掲載された記事です。

 

今だ終焉が見えないコロナ禍。2年前は良かった。これ事実!笑

2018~2019年とアジアを転戦、マレーシア、タイ、中国、韓国・・。そんな事をしていたのがもはや信じられない現在。

今日のキーワード「昔はよかった・・・」

とかく年寄りは言う

「最近の若者は」「最近のマナーやモラルは」

はたして本当にそうなのだろうか?

実は間違いなく現代のほうがモラルやマナーは向上していると思う。

昔、駅のホームに備えられていたタン壺。若い人には信じがたいのだが、駅のホームなどで唾やタンを吐く人々が多かった為、そして現在のマスクにも似ているが、明治時代末期の統計で肺結核の死者は過去10年の平均でなんと年間7万人を越すという背景も重なり肺結核予防規則というのが存在した結果、駅ホームへのタン壺設置の流れとなったのらしい。

これだけ見ても、現代のマナーは向上している。そして常にネット内を炎上させる電車内モラルだが、著書「昔はよかったと言うけれど」によれば昭和、大正、明治といつの時代も新聞のコラムを賑やかすモラルに関する論説はどの時代であっても同じくあったのだと・・・。

そして統計的に興味深いのは殺人そして自殺者の推移。凄惨な事件がテレビやネットで流れる毎日なのだが、これも印象でしかない。実際は1955年は殺人なんと2000人越え、2020年は300人にも満たないのが事実。そして自殺者統計は失業率との見事なシンクロ具合なのだが、1955年が約2万3千人に対し2000年頃は3万人を超えたのである。

昔はよかった!が間違いであるのは、もう説明する必要もなかろう。

心理学では現在・過去・未来を考える事を時間的展望と呼ぶそうで、子供時代には待ち遠かった楽しい遠足。若い時ほど数日や数週間先のワクワクしか考えない傾向があり、成人になると数十年もの先を展望し不安になっていくのだと・・・。

さらに回顧性と展望性のせめぎ合いに決着がつくのが60歳代で、回顧性が上回る。つまり昔の元気だった自分を懐かしみ、そして過去の栄光が心のよりどころになっていく。

では、展望性が常に勝っていればいいわけで、来週の飲み会、再来週の彼女とのデート、1ヶ月後の旅行、そして今週末のサーキット走行!で常にワクワク計画を立てていけば良い。勿論、計画には準備も必要。その準備はワクワクを高めてくれるはず。

レース業界のバブル期の思い出話は現代のドライバー達にはどう感じられるのか?スポンサーはヘリでサーキット入り。レースが終わればヘリで都内へと・・・。

とある先輩トップレーサーとのバブル期の会話、レーシングスーツのワッペンを指さしながら

「こないだまたパーソナルスポンサーついてさ・・・。」

「いくらっすか~?」

「ん・・・600万~」

そりゃ、やっぱ

「昔はよかった!」じゃん 笑

最近、ここTVCに通い始める50~60歳代が急増している。皆さん、始める多くの理由が経済的に出来るようになったから。

そして、その年配の方々が言う

「最近、物覚えが悪くて・・・」

「昔はもっと出来たんですよ」

本当にそうなのだろうか?ここでも心理学的に考察すれば良かった記憶は美化され保存しているだけかもしれない。

仕事に追われ、身体や神経を怠けさせたつけではあるが、その分収入というご褒美をもらったのだから。

死ぬまで成長。だって死ぬ瞬間なんて味わった事ないのだから、その瞬間が来たときに、それとて初体験。笑

一般的に60代から逆転する展望性と回顧性。また100歳近くともなれば、毎日脳内には幸せを感じる脳波が流れる。その時に展望性を感じられるのだろうか?

「今日は晴れた!いい天気!」

そんな小さな喜びと生きている実感。そこまで生きたら「昔は忘れた!」なのかもしれない。笑 


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