第52回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2020年にRevspeedコラムで掲載された記事です。

 

「あけおめ~正月どやった~」「食っちゃ寝で3kg太ったわ~」笑。そんな会話から始まる新年。このコロナ禍も相乗し、そんな正月を過ごした読者諸君も多かろう。

思えば2020はよく働いた。7月のTVC移転新規オープンもあり、9月以降は毎月レース。たまには怠けたい・・・ってこれが出来ないのよね。笑

年末年始は毎日のように海でトレーニングと言う名の遊びに興じ、「鍛えてる感」に自己満足する。

それでも自分では夜のビールやハイボール、そして充分な睡眠時間を確保し、「怠け」=リセットが出来ているつもりだ。

「夜は働かない」をモットーに夜は充分に怠ける事にしている。

そもそも人間とて動物。

動物達は仕事や怠けるなどという概念はない。腹が空けば餌を探し、満腹になれば寝る。

南・中央アメリカに生息する哺乳類ナマケモノ。これとて人様が勝手につけたネーミングなのだが、彼らは木の上で生活し、1日20時間くらい寝るらしい。食事は僅かな葉を食べ、1週間に1度排泄の為に木から降りる。

あまりに動かない為、年齢を重ねたナマケモノの身体には藻がつくという。岩や石レベルや・・・笑

睡眠欲多めの諸君には羨む生活スタイル?笑

人類誕生から狩猟生活が始まり、7000年前に農耕が始まったあたりから「労働」「仕事」といった概念が発生したわけだが、狩猟生活でも怠ける奴はいたはず・・・。

農耕作業=労働という対価に安定した食物が得られる事から始まった人様は現代では生活=お金の為に働く。

イソップ童話「アリとキリギリス」働きモノのアリは夏に餌の少ない冬の為にせっせと餌を備蓄、その日暮らしのキリギリスは冬になると困るって話。

そんなん言ったら元も項も無いが、働きアリや働き蜂は本能で動いている。誰が教えるわけでもないのに彼らはDNAに組み込まれた本能で役割りを分担し生存、繁栄しているのだ。

働きモノ=善、怠け者=悪、いつしかそんな人様の間で植えつけられた価値観。欧米では喫煙者より非喫煙者の給与が高い会社さえある。

だがちょっと待てよ!だ。怠けるというワードはどうも良くない。誰でも休息やリセット時間は必要で、デスクワークであっても45分くらいに1回のタバコの何が悪い?

自分の高効率のリズムを知る。

例えばTVCでのシミュレータートレーニング

テスト前の一夜漬けは効率的でない。1日30分のトレーニングの人、それにプラス15分走る人、30分を2本走る人。TVCではその人に合った効率を考慮しながら走る時間を決める。間に休憩を挟む人、インストラクション後即走行する人、様々だ。

実際のレースウィークの現場でもそう、走行後即のエンジニアとの会話、その後、ゆっくりタバコを曇らせながらもう一度考える。自分のルーティーン怠けである。

じっくりかみ締め走行シーンを振り返る。すぐにデータロガーを見るのではなく・・・。

実際に新たな思いつきや発見はこんなリラックス時間に頭に浮かぶ傾向がある。

筋トレも同じ、筋肉に負荷をかけ壊し、そして休ませ再生する。高い効率の休息、怠けは必要なのである。スポーツもしかり、ただただ長い時間やればいいわけもなく、考えながら検証し、課題を持ちながら、反復を繰り返す。

オレ自身は1日中、怠けるという事ができない。前世はマグロだったかもしれない。笑

22年前の富士での大クラッシュで約1ヶ月ベッドから降りる事すら出来なかった。みるみるうちに太ももの筋肉が細くなっていく。

寝たきりの劣化の恐怖を味わってしまった。それ以来、身体を動かさない日は怠けの罪悪感ではなく劣化への恐怖なのだ。

もともと人も動物。怠ける事に罪悪感など感じる必要などない。

時間単位、1日、1週間、1年という単位ごとの自分に合った効率を上げるための怠けは必要。

仕事が生きがい!な~んて方は1分1秒を惜しみ目一杯働きましょう。しかし、それは逆に効率や新しい発見を阻害しているかもしれない。

 

参考文献:「ナマケモノに意義がある」池田清彦著 角川書店


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