DG MotorSports MINI Challenge もてぎRD.石井選手

から生々しい手記が届きました!
もし自分がその立場だったら・・・そう思って読んでみてください!
素直な気持ち、叫び。だからレースは,

そして人生は面白い。

2020.7.12
MINI CHALLENGE JAPAN
開幕戦@ツインリンクもてぎ

この舞台に僕は立った。
何もかもが初めてで、最高の週末だった。

今年1月、TVCでの社内選考を経てドライバー候補3人の内の1人に。
これがダイワグループモータースポーツ(DGMS)の始まりで、砂子塾長、東風谷さんとの出会いでもある。

毎週欠かさずにTVCに通い、ドライビングスキルの基礎を叩き込まれた。
クリップ手前最大舵角!!
スローインファストアウト!!
唱え過ぎて、もはや座右の銘である。

月1の砂子塾では丸一日オーバーステアコントロールの練習!
ここでも言われる事は同じだ。
クリップ手前あああああああああ…!!(笑)
出来ない自分にアホなのかと問いかける日々。

そしてコロナ禍での活動休止。
ようやくミニチャレ号に乗れたのは6月、大雨の富士…。(笑)
この1時間強の走行を最後に、開幕の時を迎える事となった。
本当に時間がなかった。

前週にもてぎのライセンスを取得した為、仮ライセンスでのレースウィーク。(笑)
9日(木)に初のもてぎ走行、3枠。
予報通りウエットスタート…。
思えば最後まで天気に翻弄された週末だった。
2本目からドライでの走行となり、ようやくTVCとの差を詰める作業に移行出来た。
11日(土)まで計2時間練習でき、だいぶコースと車には慣れた。
塾長と東風谷さんに細かく車載チェックしてもらい、アドバイスと共に「大丈夫、順調!!」と背中を押してもらった。

迎えた12日(日)、予選・決勝日!
応援に駆け付けて下さった会社役員の方々を、この時ばかりは人間では無いのだと、強く言い聞かせて自分を保った。(笑)
それでもインタビューに写真撮影、どんどん空気に呑まれていく。

そして始まった予選。
多分この時、車に乗る前が一番緊張した…。
ついに始まる、自分は大丈夫なのか、冷静にアタック出来るのか、クラッシュしないか…。
震えながらピットロードを抜け、コースイン!
その瞬間、視界が開けて違う震えに変わった。
心の底からワクワクして、ついに来た!やってやるぜ!
目標タイムもクリア出来る自信があった。
がしかし、計測3周目のダウンヒルで4輪ロック、スピン!
決勝でも使う新品タイヤを壊し、4番手タイムで終了…。気合が空回りしたー!!
車載を見た塾長の悲鳴を、今でも鮮明に覚えてます。(笑)

チェックする度に変わる天気予報に一喜一憂しながら、レース1は繰上げ3番手スタートに!
人生初のレースがこの位置から……。
もう緊の張がカチーーンッ!!!(笑)
運命のシグナルが灯り、ブラックアウト!!

走り出したら、やっぱり心が踊った。
先頭集団は激しくバトルしながらどんどん離れていく。
すごい…!!
ラインの取り方、車の挙動、どれを取っても自分のそれとは別次元だった。
…そりゃそうだ。
中盤のダブルイエローで完全に離されてしまったけど、可能な限り前を追った。
そうしてあっという間に4位でチェッカー!!
ピットウォールに押し寄せるチームのみんなが見えて、手を挙げて応えた。
その瞬間、胸と目頭が熱くなった。
無線から「よくやった!!本当によくやった!!」塾長の大きな声が脳に響く。
優勝したかと思った。(笑)

それにしても、この時の気持ちを表現するのは難しい。
フワーっとした、光に満ちたような幸福感。
心が小刻みに震え、身体から湧き出る達成感。
他にも安堵や冷めない興奮、色々なものが押し寄せた。
あの気持ちを一度味わったら、もうダメだ。
完全にレースの虜になった。

レース2は全く緊張せず、早く走り出したい気持ちで溢れていた。
直前まで雨が降りウエット宣言まで出たが、グリッドでは西陽にスポットを当ててもらった。
最後もドライで走れる事に感謝しながら、
タイヤも4本ユーズドだし、出来る事は限られている。
けど、この週末で学んだ事を出し切りたい!!
そんな事を考えながらレーススタート!
ペースは悪くなかった。
終始3番手をぎりぎり視界に捉えていたし。
レース後半にはセクターベストを更新しながら、かなりの手応えを感じていた。
フロントタイヤはキツいけど、それでもベストが出るんだからまだいける…!
そう思った矢先、ビクトリーコーナー進入でスピン!グラベルでストップ……。
残り2分で痛恨のミスだった。

はぁ、こんな終わり方……。
と思っていたら、オフィシャルの方からリスタート出来そうですか?!と。
バンパー付いてるかも分かんなかったけど、反射的に、はい!!!って答えてハーネス締めてた。

ゆっくりコースに戻り、砂利を撒きながらチェッカーを受けさせてもらった。
本当にありがたかった…。
コース脇で終わるのと、最後尾でもゴール出来るのでは、気持ちに雲泥の差があった。
無線からは塾長と、このチャンスを下さった高野社長からメッセージを頂いた。
「お疲れさん!上出来だよ!良いレースだった!」
僕からはただ申し訳ない、やり過ぎてしまったとしか言えなかった。
それでもピットに戻ると、こちらに駆け寄って来てくれて、後半の走りを良かったと言ってくれる仲間がいた。
そのおかげで、攻めて良かったと思えるようになった。
結果は残念だったけど、それを残念と感じさせないでくれたのがチームのみんなだった。

こうして僕の初のレースウィークは終わった。
最初に申し上げた通り、最高の週末だった。

支えて下さったチームの皆さん。
応援に来て下さった皆さん。
指導して下さった砂子塾長、東風谷さん。
チャンスを下さった(株)ダイワグループ 高野社長。
自分自身の努力はもちろんだけど、皆様のおかげでこの気持ちを味わう事が出来ました。
本当に、ありがとうございました。
今後もこの最高を超えるべく、努力して参ります。

僕のレース人生は、始まったばかりです。

石井 一輝