【砂子塾事務局長論】サーキットデビューからチャンピオンへ。その間にあったもの

初優勝の地・スポーツランドSUGOで、ラストレースも優勝

2019年。

事務局長の東風谷は砂子塾長とDGMS(Daiwa Group Motorsport)のチーム立ち上げから、ドライバー育成という立場で携わってきました。

プロメカニックも、プロドライバーもいない。

ディーラーの社員が中心となって挑戦するレーシングチームです。

レース経験のないところからスタートし、「どうすれば速く、安全に、そして継続して強くなれるのか」を、一つひとつ積み重ねてきました。

その中で、石井一輝選手の育成も始まりました。

サーキット経験は決して豊富ではなく、もちろん最初から勝てるドライバーではありません。

だからこそ、まず必要だったのは「速さ」ではなく、「経験」でした。

マイルを稼ぐ。

いきなりサーキットでタイムを追いかけることはしませんでした。

まず取り組んだのは、砂子塾の広場トレーニングTVCのシミュレータートレーニングです。

広場では、荷重移動やオーバーステアなど、限界域での車両コントロールを安全な環境で何度も反復。

シミュレーターでは、ブレーキング、ライン取り、レース中の判断などを何百回も繰り返しました。

私はこれを「マイルを稼ぐ」と呼んでいます。

実車だけでは積み重ねられない経験を、広場とシミュレーターで先に積み重ねる。

その経験値が、サーキットでの一周、一周に表れてきます。

成長は一直線ではない。

もちろん順風満帆ではありませんでした。

思うような結果が出ないレースもありました。

クラッシュも経験しました。

悔しさを味わい、そのたびに原因を整理し、砂子塾広場トレーニングへ戻り、シミュレーターで確認し、またサーキットで試す。

派手な近道はありません。

ただ、積み重ねだけは裏切りませんでした。

初優勝、そしてチャンピオンへ。

努力を続けた結果、初優勝を飾った場所が宮城県・スポーツランドSUGOでした。

あの日の優勝は、速さだけではなく、「積み重ねてきたことが間違っていなかった」と実感できた瞬間でもありました。

その後も経験を重ね、2025年にはBMW & MINI Racing M2 CS Racingクラスのドライバー&TEAMタイトルを獲得

シリーズを通して安定した速さと強さを発揮し、チャンピオンという結果に結びつきました。

そして、ラストレース。

今回迎えたラストレースも、舞台はスポーツランドSUGO

初優勝を飾った思い出の場所で、最後も優勝という最高の形で締めくくることができました。

結果だけを見れば「優勝」です。

でも、私にとって一番嬉しかったのは、レースに勝ったことだけではありません。

サーキットデビューから始まり、自ら考え、自ら修正し、自ら結果を残せるドライバーへ成長したことです。

第二章へ。

石井選手はここで一つの区切りを迎え育成側へ。

そしてDGMSの育成も、新しい世代へと進んでいきます。

また経験の少ないドライバーが加わり、ゼロから積み重ねていく。

育成に魔法はありません。

広場トレーニングで基礎を学び、シミュレーターで経験を積み、サーキットで答え合わせをする。

その繰り返しです。

2019年から受け継いできた襷は、今度は次のドライバーへ。

これまで積み重ねてきた経験を、また次の挑戦へつないでいきたいと思います。