第1回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

インストラクターとして、アマチュアからプロまで、数多くのドライビングを見てきた砂子塾長の連載コラム。自身の持論をもとにスキルアップを願うレブスピード読者にエールを贈る。第1回目はちょっとシュールな話題だが、徐々に熱くなっていきましょう。

ドライビングの始まりはどうだった!?

少年時代。遥か遠い昔。
そう、誰もがやったであろう川や海へ向かって投げた平たい石ころ。石ころは水面を切り、跳ねていく・・・。その水面を跳ねた回数を競い合い、日暮れ近くまで他愛なく石を投げ続けた記憶。それはもう立派な球技全般のスタートであり「野球」はすでに始まっている。

効率良くスピードを稼ぐフォーム。腕や手首のスナップを利かせて石の軌道計算をしながら川へ投げ込む・・。ちなみにボールを転がして、そのボールがどのくらいの距離を転がるか?同じくクルマを運転中、遠くの信号が赤に・・・ゆっくりとスロットルを戻して減速していく・・・ボールのそれと同じ「慣性予測」である。

学校の帰り道、道端の石ころをステップを踏みながら蹴る。インサイド気味か、トゥキックぎみか自分の思った場所へとその石ころが転がれば小さな達成感。そう、ここでもすでに「サッカー」はスタートしているのだ。

では・・・モータースポーツそしてクルマの運転というのはいつから始まっているのだろうか?免許を取ったあの日から?いや・・・車輪を転がした自転車あたりから既に始まっていた?車輪を転がすという意味では自転車操作に共通項は多いのも確か。タイヤの縦横グリップの使い分け。フロント荷重。リヤブレーキをロックさせて、故意にテールスライドを誘発させる。これも男の子なら誰しもやったことであろう。

さらに・・・よくよく思い出そう。その前に、父親もしくは親戚の誰かの運転の後部座席から流れる景色を見ていた・・・免許証はおろか、クルマという認識以外になんのインプットもされていないが、その時の経験こそが!あなたのドライビングの始まりなのである。父親のウィンカー合図、ステアリング操作、合流、ブレーキ・・・を見ていた。

実は、これこそ自分のその後のクルマ操作に重大な影響を与えているはずではないか?そもそも家にクルマがあったか?
そしてそのドライビングは上手かったのか?ギクシャクした動き?交通の流れに乗っていた?合流で一時停止?・・・よく思い出して欲しい。その記憶は必ず自分のクルマ操作に影響を及ぼしているはず。その運転に疑問を覚えたか?子供心に危険やスムーズに欠けた瞬間に違和感があったのか?・・・

自分の場合、勿論、オヤジのドライブする後部座席の真ん中に座り、ステアリング越しの景色を食い入るように見ていた。子供心に「これを自分の手で動かしたい。」と力強く想っていた。ある日、親戚の叔父のドライブする後部座席で相当な違和感を覚えた事を記憶している。自分の父親のそれとは大分違うことに恐怖とまではいかないが、明らかな違和感を感じているのだ。特に信号で完全停止する際のブレーキリリース(当時はそうも思わなかったが・・・笑)。

親戚の叔父はそれこそ「カックン!」と止まる。加減速タイミングやロールやピッチング。理解してこそいないが、スムースさに欠け「下手くそ」なのは分かった。子供当事、興味は自転車のコントロール。この自転車で前述の慣性予測や危険感受性を子供心に養っていく。急には止めれない事。加速には減速よりも多くの時間がかかる事。バンクさせてる時にフロントブレーキは強くかけられない事・・・これ全てクルマのドライビングしかり。つまりドライビングはこの時すでにスタートしていたのである・・・。

あなたのドライビングルーツを思い出して欲しい。その時何を感じていたのか?どんなシチュエーションでどんな気付きや発見があったのか?そして、それはあなたのドライビングのその後にどう影響を与えたのか?考えてみると興味はつきない。

そして、さらにあなたのサーキットデビューも思い出してみてもらいたい。ドキドキしながらピットロードからコースインした瞬間を!サーキットへ行く前日、白紙にコース図をペンで描きギアポジションなど連想したあの日。「最初が肝心」その後に大きく影響する第1歩。
そして今現在・・・サーキット未経験者には強い見方がいるぜ!「東京バーチャルサーキット」安心してスタートしよう・・・。

 

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