第32回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

高性能ドライビングシミュレーターによるトレーニングルーム『東京バーチャルサーキット』に加え、『砂子塾』と銘打つ富士P2や筑波ジムカーナ場での広場トレーニングで多くのドライバーを教える砂子塾長の連載コラム。

2019年のブランパンGTシリーズ・アジアも好調で、目下4戦中3勝!6月は鈴鹿(22-23日)、7月は富士(6 -7日)と、日本ラウンドを控えている。今回は『海外のレースあるある』な話が題材ぼーっと生きていては、グローバル化にアジャストできない。

日本のレース経験だけでは海外は生き残れない!

グッドイヤーが2018年ジュネーブ国際モーターショーで発表した『オキシジェン』と名づけられたタイヤは、サイドウォール内で苔を生息させるという。雨の日、路面から水を吸収して循環させ、光合成を行い、二酸化炭素を取り込み、酸素を放出する!

また、光合成で発生するエネルギーを内臓電子機器に返し、電気を供給するというのだ。凄過ぎる……。

長らくタイヤの基本構造は「ゴムの中に空気」という大雑把なところでは、激的な変化がないままだった。もし、このコンセプトタイヤが実際の市場で使われるようになったら……。

変わるもの。変わらないもの。人はクルマ100数十年の歴史の中で変わってきたのだろうか?

国民性のジョークネタで世界的に有名なこの話。豪華客船が沈み始め、船長が外国人乗客に脱出を促すことになった。さて、どう促すのが良策なのか?

 

アメリカ人には「飛び込めば、アナタは英雄です」

イギリス人には「飛び込めば、紳士です」

ドイツ人には「飛び込むのが、この船の規則です」

イタリア人には「飛び込めば、女性にモテますよ」

日本人には「皆さん、飛び込んでますよ」

北朝鮮人には「総書記が飛び込めとおっしゃってます」

関西人には「ここは道頓堀やねん」…。最後の関西人は完全なジョークとしても、ほぼ気質は的を射ている。

 

しかし、ここ最近の日本人は、これでは動かないような気もする。

多様性という言葉がスタンダード化し、不登校の小学生ユーチューバーが「学校に行かない、好きな時に勉強をする」という『自由の権利』を正当化する時代(極端な例だが……)。また、ニューヨークの意識高め系の中では、ジェンダーレスからトイレを男性/女性に分けないらしい。

そう考えると、人もカルチャーも思想も、変化しているようにも思える。しかし、本当に日本人は変わったのか?

戦後、駅のホームにタン壺が設置されていた日本。マナーやモラルはよくなったか?いやいや昨年の江ノ島花火大会後の、ゴミ放置プレイの惨状を見れば、何ひとつ変わっていない。

 

スーパーGTで長年にわたり採用されているモラルハザード。その走りやバトル、接触などのドライバー行為を厳しくジャッジする。

今回のブランパンGTシリーズ・アジアのタイラウンドで、前を行くAMGとのバトルシーン。そのAMGを操るベテランのオージー(オーストラリア人ドライバー)は、ストレートでは危うくダートへ押し出そうとするし、横並びのブレーキングでも、スーパーGTだったらペナルティになりそうなくらい、グイグイ寄せてくる。

もちろん、オレ様は慌てない。相手のミスを誘発させ、2周で料理した。「つねにクリーンなバトルを!」「相手の生存空間を!」といってきた身としてあえていう。「海外では、そうはいかないぜ!」である。

日本の、何かあったらすぐペナルティというレース経験しかなければ、エゲツナイ海外でのバトルは生き残れない。

『郷に入れば郷に従え』的な価値観、実際のプレーにもアジャストが必要だ。そして、相手に「日本人も一歩も譲らねぇ。てか、上手いし、速え~な!」と思わせたい。

実際、レース後に、オージーには「It was very exciting battle」と、笑顔でサラッといっておいた。決して、日本人は「皆さん、飛び込んでいますよ」じゃないってことを認知させてやるぜ(笑)。

 

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