第11回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

インストラクターとして、アマチュアからプロまで数多くのドライビングを見てきた砂子塾長の連載コラム。自身の持論をもとに、スキルアップを願う読者にエールを贈る。第11 回目は『人間力』についてスポンサー獲得のためには『感動を与えられる人間』になることが先決と説く。

『人間力』を持ちなさい

8月、ここのところ、雨ばっかりや~ん(涙)あ~バリ島に波乗りしに行きてぇ~(マジ)

どなたか、オレのバリ島旅行にお金出してくれんかな~。照りつける太陽と青空、風なし、毎日、遥か彼方から運ばれる極上な波… って… 誰がオッサンの遊びにお金出すね~ん!!

そう、今回のテーマは『スポンサー』。レーシングドライバーを目指す若者から、数多く受ける相談は、「スポンサー獲得したい」という話。レースへのサポート。さて、前述のオッサンのバリ島旅行へのサポートといったい何が違うの?

答えは「同じ」であろう。自身の欲の達成への準備なのだから。まずはいったん、そう解釈すべきだ。古今東西、文化やスポーツに対するサポートは存在する。日本では古くから相撲や歌舞伎の世界で後援者を『谷町』(たにまち)と呼んでいる。何と、語源は明治時代に大阪府の谷町で開業する外科医が、ひいきにしている力士からは治療代をもらわなかったことだという。

その外科医の先生は何を喜びとしたのであろうか?怪我から復帰した取り組みを見て、勝ったときのうれしさ、そもそも大好きな相撲という競技に参加している一体感、そういった感情がサポートを決めた理由なのだろう。

テレビやメディア露出が当たり前のメジャースポーツの選手であれば、企業名のワッペンはBtoBの立派な広告だ。しかし、名もなきドライバーたち。どうやってスポンサーを得ようとするのだろうか?

そもそも、お金がないのに贅沢をするべきでない。お金がなければ、月末は吉野家の牛丼で我慢する。世のサラリーマンのつねである。自分の器量と自分の稼ぎに見合った生活が当たり前。オレはそのスポンサー獲得したい若者にいう。

「アナタはそのスポンサーに何を返せるの?」若者は答えに困る……。
「アホか!」
「答えはひとつ!」
「返せません」や!

ただし…「感動を与えることができるかもしれません…」
そうや!そういえ!感動や喜び、一体感。それをどうやって相手にもたらすか?それを一生懸命考えろと。

100円ショップに行く。感心する。「へぇ~ こんなものまで!?」
購入した商品の出来栄えと使用感で費用対効果は決まる。人は「これなら安いものだ」と思えば必ず購入する。質、サービス、満足感がリピートにも結びつく。

話を戻そう。そのドライバーにサポートするだけの価値を見出せれば、「出す」となるだろう。問題はその人間力があるかどうか?

努力する。がむしゃらになる。そんな姿は感動を呼ぶ。努力過程を長く見せれば見せるほど感動は倍増する。そして、発信していく。SNSが普及した今日は、スマホ操作ですぐさま発信可能な時代である。

SNSは素人同然の地下アイドルまで生み出す。『自撮り』がお金に化ける世の中。もちろん、目指すのはそこではない。自身のやる気、生きざまをアピールするのだ。

クラウドファンディング。こんな手法もインターネットでは当たり前になった。これも見返りのない寄付型から投資型までさまざまだ。

まずは友人を自分のレースに、そしてサーキットに連れて行こう。親戚、そのまた親戚の親戚も…。運動会でもそう。自分の知り合いや友人が競技に出れば100%応援してくれる。ちなみに、友人の応援はお金では換算できないほどの心の大きなサポートになる。

その友人すらサーキットに来てくれないということは、自身に、残念ながら問題があるっちゅ~こと。スポンサー獲得なんてあり得ない。自身の人間力を疑うべきだ。

どなたか~ バリ島サーフトリップのスポンサーいないっすか~? 毎日、バッチリ波乗り写真をお送りしま~っす!たくさんのお土産と、たんまり土産話を、帰ったらお聞かせしますぅ~(笑)

Revspeedで毎月コラム掲載