第69回:砂子塾長の熱血ドラテク理論「時間軸」

2023年雑誌Revspeed掲載

 今年11月6日に誕生日を迎え、御年59歳となった。

秋が深まると出る、たわいもない会話
「陽が短くなったよね~」
「も、来月12月だよ・・・。」
「1年早くね?」

毎年恒例ともいえる意味なき共感会話だ。笑

子供の頃、8月の夏休みを途方もない長い時間と感じていたのに・・・。

歳を重ねるごとに速く感じる1年。
6歳の子供にとっての1年は6分の1、60歳の大人の1年は60分の1という時間軸対比によって
感じるスピードが違うのではないのだろうか?

つまり時間の感じ方は人それぞれってわけだ。


五反田のTVCのカレンダー。↓ 必ずこれをめくる日はすぐにやってくる・・・笑

そう、今日のテーマは「時間軸」

2023年のレース業界は大きなアクシデントが目立ったシーズンとなってしまった。
鈴鹿S耐での山野選手の130R立ち上がりでの接触、クラッシュ。
SUGOスーパーGTではスタンレーNSX山本尚貴選手が最終コーナー立ち上がりで接触から大クラッシュ。

そして、同じくGTでの鈴鹿130R出口での松田次生選手のクラッシュ。
そして記憶に新しい、またもや鈴鹿130R、スーパーフォーミュラ最終戦。
笹原右京選手と大津弘樹選手が接触によって2台が激しくクラッシュしてしまった。

それぞれのクラッシュの要因は勿論様々なのだが・・・
こういう有事が起きた時に湧き上がるのが「サーキットの安全性」である。

俺的持論を先に言わせてもらうと
「安全なサーキットなんてないから!!!」

ただ間違いなく言えるのはスピードは年々アップしているということ。
ランオフエリアはスピードが遅い20年、30年前とそう変わらないわけで、
サーキットも様々な対策を施してもガードレールやスポンジバリアまでの距離は
変えられないし、拡張しようものならこれまた膨大な予算負担がサーキット側に
のしかかる。


ここ10年で大きな論争となっている「4脱」(4輪脱輪)
はコースアウト側の舗装が増えた事で起こる話題なわけだ。
昔は全てグラベルだったので、コースオフ=終了 の緊張感は現在の比ではなかった。

鈴鹿130Rは出口アウト側が舗装されており、F1サポートレースで開催されたBMRレースの
オープニングラップでのトップ進入でしゃーしゃーとその恩恵にあずかった。笑
あ、勿論その後優勝しましたけど・・・笑

その130Rの入り口はグラベルなのだが、その右京クンと大津クンの接触ではマシンが宙に浮かび
当たり前だが、グラベルでの速度低下をせずにバリアへとクラッシュしてしまった。
こうなるとグラベル本来の役割すら果たせないわけだ。

皆さんよくご存じの富士ではほとんどグラベルがないため、2輪の大きな大会は開催できないんだと。
ライダーの転倒のさいには、とにかくライダーをグラベルで減速させなければならない。

本題に戻ろう。
ここ20年のスピードアップは凄まじいものがある。
1995年のF3000鈴鹿のコースレコードは1分42秒台。昨年のGT500のレコードが44秒台なのだ。
速過ぎる・・・。汗

加えてスーパーGTは50台ものマシンがひしめき合う。
数年前に流行った「蜜」過ぎる環境。
だからこそのスリリングなシーンが生まれ、ファンは沸き立つのである。

ただ、どうにもならない人間の能力や物理的限界が近づいているようにも感じる。
スピード+蜜のおかげで、ドライバーが感じる時間が極端に短くなっている。
各コーナーを駆け抜ける時間の感じ方はアマチュアよりプロドライバーのほうが同じ時間を
長く感じている。しかし現在のスーパーGTではその時間の余裕を感じさせない状況なのだ。

ラップタイムを5秒も落とせば、すべてのドライバーは時間軸を相当長くに感じてくるはずだ。
おまけに見ているファンは5秒遅くなってもなんらスリリングに影響はないであろう。

どうやってタイムを落とすのか?
パワー、タイヤサイズ、ダウンフォース削減等々、様々な手法があろう。

安全のためにサーキットを変える必要なんてない。

かつてはスピード抑制のためにやたらとシケインが作られた。
ル・マンのユノディエールストレートは有名だ。
これは技術革新とともに必要を迫られた背景があり現在とは違う。

毎年コースレコードを更新などしなくてもいいのである。
いいバトルを演じられて、ファンが喜ぶレースを見せられればそれでいい。