第66回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2023年にRevspeedコラムで掲載された記事です。
WBC・大谷翔平に見る究極のメンタル
9回表、2アウト、3ボール、2ストライク。日本3点、アメリカが2点で追う・・・。
またまたWBCネタからのコラムスタートである。バッターはエンゼルスの同僚、MVP3回、300本塁打のスーパースター、マイク・トラウト。ピッチャーは言うまでも無い大谷翔平。
この9000万人が見ていたというこの場面で緊張しないやつっておるん?笑である。
しかし、大谷さんは完璧とも言える外角低めのスライダーを投げ、トラウトのバットは空を切った。日本中が沸き立った最高の瞬間である。
この技術というよりメンタルの強さこそがプロフェッショナルスポーツプレイヤーの凄みであろう。 メンタルは技術のひとつと言われる昨今だが、あのシーンで身体がこわばることなく投げれるには相当な裏づけある技術的自信と、失敗を恐れないポジティブな感情が必要であろう。まさにアッパレだ。
大谷さんの二刀流はアメリカでは「2WAY」と呼ばれ、その発案はなんと実の母親である加代子さん。その当時彼は「プロの世界は死に物狂いでそのポジションを獲得しているんだから、どっちもやりたいなんて失礼だよ・・・。」と言っていたそうだ・・・。
若きGTドライバーたちの激闘と成長
先日、日産本社でPV解説しているスーパーGTrd2,富士戦でもGT300に乗る二人の若手ドライバーが熾烈なトップ争いを演じた。これもまさにメンタルの戦いであった。
レース終盤の87Lap目のストレートでトップを走るムータ86の平良響をリアライズGT3GTRの名取鉄平がスリップから抜け出しトップが入れ替わる。そこからチェッカーまでの約10Lapをテールtoノーズで食らえついていく。ピットタイミングは名取が後だったこともあり、タイヤの状態は名取有利。追う立場から追われる立場へ、そして平良は追われる立場から追う立場へとメンタルも変わる。
「絶対についていく!」
「必ずまたチャンスが来る!」
平良響の声が聞こえるようだった。
なんとこの2人2000年生まれの同じ歳の22歳。名取の姉は鈴鹿サーキットクィーン39期を務めた名取りなというから面白い。
一方の平良響(以降、響)は沖縄出身のドライバー。小学校からカートを始め。2010年沖縄シリーズのチャンピオン。鈴鹿SRS出身で2019年フォーミュラトヨタスクールのスカラシップを獲得し、FIA-F4へと進み12戦中10勝の快挙を成し遂げスーパーGTへと順調にステップアップしたのだが、響の高校時代に沖縄のカートイベントで俺はブッチ切られ(笑)まさにその頃「レーサーになりたい・・・。」と話していた。
その後、トヨタのスカラシップを外れそうになった時期もあり、TVCへも来てくれた。その響が堂々のトップ争いを演じているのだから感無量だ。
そしてファイナルラップの最終コーナー。響86が名取GTRのインを刺す!最後の最後まで諦めない、「勝ちたい気持ち」が全面に出た450kmバトルはなんと0.5秒ほど名取が前でチェッカーとなったのだった。
「追う者」と「追われる者」メンタルの鍛え方
追う立場と追われる立場。どちらが楽だろうか。ほとんどの人は追う立場であろう。多くのアマチュアが追われる立場になると失敗を恐れて萎縮し走りが小さくなってしまう。再現性さえあればメンタルは関係なく思えるが、多くの台数のトラフィックでは自身の思う通りにはいかない。
メンタルをいかに強くしていくか。これはとにかく練習量と実力に比例していくもの。マシンを降りている時でも、フィジカルコンディションを日頃からしっかり管理、トレーニングしている事は大きな自信へと繋がる。
また規則正しい生活はつまり朝に太陽を浴びるわけで、これが神経伝達物質であり精神安定を保ち、脳機能の向上を助けるセロトニンの合成を促進させるらしい。
最近のTVCでは2台のSimを使いバトルトレーニングができる。後ろから塾長が迫ってくるのがミラー越しに見えるわけで、Simでメンタルトレーニングさえも可能となったわけだ。メンタルは技術の大きなひとつだから・・・。

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