第65回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2023年にRevspeedコラムで掲載された記事です。


サッカーと野球、動員数と熱狂の違い

サッカーWカップの熱冷めやまぬ間に今度はWBCの開幕。サッカーと野球。何かと比較される2大国民的スポーツなのだが、観客動員数で比較するとプロ野球はJリーグに圧倒的差をつけ勝っている。

12球団のトップはやはり巨人で年間300万人超え、Jリーグトップは浦和レッズの67万人。これはプロ野球最下位のロッテ132万人を大きく下回る。

しかし、試合数から考えるとJは年間平均20ゲームに対し野球は71.5試合。3倍ものゲーム数なのだ。1試合平均の動員数を見ると浦和レッズは巨人、阪神に次いで3位の3万7千人。野球もサッカー人気も大差はないようだ。

では、見るファンの騒ぎ方はどうであろうか?これは圧倒的にサッカーW杯のほうがWBCに比べておバカ騒ぎが過ぎるように思える。

そう!今回のお題は~「ヒトは集まるとバカになる!」

 

集団心理がもたらす快楽と危険

ハロウィンの渋谷、音楽フェス、政治的暴動や革命。これ全て集団心理の「みんなでやれば怖くない」である。

マウスによる実験で、集団にいたマウスを1匹隔離すると神経伝達物質であるアミリンが減少し、6日間でゼロになるそうだ。しかしそのマウスを再び集団に戻すと再びアミリンは増加する。哺乳類は独りでは生きられない。孤独を経験するとより同調を望む傾向にあると言う。

寄らば文殊の知恵。集団は多様な価値観を生み、それによる優れた知性を集合知と呼ぶ。以前、このコラムでも集合知が足りなかったネアンデルタール人絶滅の話しである。

しかし、その一方で大きな同調行動が起きてる脳内では島皮質が役割を果さずに、他人の痛みに鈍感になっていく・・・。これが集団の「悪乗り」になるわけだ。

この集団心理の力と怖さを知っおくべきだが、集団って何人?これは、スポーツで考えても面白い。野球は9人、サッカー11人、ラグビー15人。しかしこれは心理学では集団に満たないそうだ。集団とは、個々の責任感が薄れるほどの人数でそれが20人以上なのだと言う。

モータースポーツ、F1やスーパーGTなどのビッグレースでは1チーム30名なんてざらである・・・。

ただ違うのは個々の責任感が薄ることなどMSにはない。ラスト5周、トップには追いつかない。こんな時にトップマシンのクラッシュを期待してしまうのは島皮質が正常でない状態の、チームとしての集団心理なのかもしれない。

学校のクラスは30~40名。これはまとまれる限界数であり、軍隊の小隊も同じらしい。

誰しもが経験としてあるであろう集団の中でその流れに乗る快楽。教室での悪ふざけ、いじめもこの類なのだ。この時、脳内は偏頭体ハイジャックが起き、恐怖感は薄れて理性のブレーキは壊れる。

これは教室の仲間でなく、知らない人通しでも起き、革命やデモへと発展する。戦争などの過去の人間の過ちなのだ。

同調行動は攻撃的になり大きな集団思想は危険と理解すべきなのだ。では、防ぐにはどうあるべきか。

 

自分を保つメタ認知と社会との関わり

「メタ認知能力」と呼ばれる自身のコントロール術。自身の考え、判断を俯瞰的、客観的に捉えて自身を制御していく事である。

また、脳の同期現象は同じ時間、空間、目的が条件となるそうで、いわゆる「あ・うん」の呼吸ってやつだ。

男女が一緒にご飯を食べる行為はその条件が満たされて脳の同期が起き易くなる。ん~だよね・・・。だからご飯に女子を誘うのです。

コロナ禍で一気に進んだリモート会議。これ、先ほどの同じ空間という条件を満たしていないし、返事やうなずきにラグがあるせいで、脳の同期は起き難いそうだ。同じ目的ではあるものの・・・。リモートでの決定・結論は出さないほうが利口かもしれない。

3月12日よりマスク着用は個々の判断に・・・。しかし、日本人はマスクを外さない。テレビのインタビューでは「みんなが外すなら・・・。」と答える。同調圧力は未だ衰え知らずで強固に存在している。笑


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