第63回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2022年にRevspeedコラムで掲載された記事です。
久しぶりの再会で気づいたこと
久しぶりに中学時代の同級生達との飲み会。
「あれ?こいつこんなに小さかったっけ・・・。」
中学当時は大きいほうだった奴が高校ではあまり身長が伸びなかったのだろう。逆に俺は中学当時は小さくて高校で逆転したってわけ。
小学校での朝礼はいつも前のほうだった。いわゆる「背の順」で並ぶのが当たり前。そこに差別なんて考えは及びもしなかった。ところが最近ではこの背の順で並ばすことが差別だという。並ぶときに背が高い奴が前なんて、前が見づらいし合理的じゃない。子供心に小さかった自分は、小さい=すばしっこい!を特技であり長所と思っていた。
大田区の学校対抗ソフトボール大会では毎回レギュラーメンバーに選抜され、1番ショートを任された。小さいけど、すばしっこい!が長所やし!
中学でも小さいままだったが、サッカー部に入り、中2では陸上部抜きで100m走の学年イチの記録保持者となり、その俊足をかわれてサッカー部右ウィングを務めた。それもこれも自分の短所であり長所でもある事に磨きをかけた結果であり、他人との比較がなければそうしなかっただろう。だから立ち位置やポジション、その個性を子供に理解させる必要があるのである。
運動会で並んでゴールするなんてナンセンス。学校では球技大会で輝く奴、文化祭で輝く奴、テストで輝く奴、それぞれの分野で自分が頑張れる場所を見つけていく事が必要ってわけ。
自分の個性を活かす出会い
さて、レーシングドライバーのみんなはどうなのだろう。どちらかと言えば運動オンチのプロドライバーも多くいる。かの中嶋悟氏は若い頃に運動が苦手で、18歳でクルマに出会って「これだ!これは俺にできる!」「これって俺にむいてる!」そんな大発見をしたらしい。運動オンチがとんでもない自身の人体拡張機能と出会ってしまったわけである。それも、これも自分自身を知ってたからこその出会いであろう。
現在、F1で活躍する角田裕毅も身長が159cmしかないそうだ。これは想像だが、彼もおそらくカートと出会って「これだ!」と思った口であろう。
背が低いなら身軽なはず、ならば体操が向いてるかも?背が高いからバスケやバレーボールがいいかも?身体が大きくガッチリしてるからレスリングがいいかも?身長や体重も大きな個性や特徴となり人生をも左右する。
身体も小さく運動神経もイマイチな~んて子がいたら、レンタルカートに乗りにいこう。とんでもない才能が開花するやもしれない。そこにはこれまた、とんでもない夢があったりする。
クルマは誰にでも開かれた世界
GTカーやフォーミュラは例外としてチューニングカーレベルであればミラクルな運動神経は必要ない!これ持論である。ゆっくりブレーキをリリースしながらこれまたゆっくりとステアリングを切っていく。CP手前最大舵角、スロットルON、ゆっくりステアリングを戻していく。この作業はいわば誰でもオジイやオバアでも操作可能な話しである。
クルマほど楽しく、そしてもっとも楽に人体を拡張できるモノは他にはない。それも身長、体重、性別、そして身体能力を問わず、誰もがスロットルONでスピードの世界、ドライビングプレジャーの世界へと誘ってくれる。
これ余談だが、本誌でもお馴染みの中谷さんが、とあるスポーツ選手のレーサー代表として番組に出演し、運動オンチを日本中の皆さんに披露してしまった事があった。中谷さん弁解いわく「そうゆーやつがクルマ乗ったら速いってかっこよくない!?」と雄弁に語った記憶を思い出した。
さぁ!運動オンチの読者諸君!笑 サーキットを走ろう!その前に東京バーチャルサーキットでね!

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