第61回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

※ この記事は2022年にRevspeedコラムで掲載された記事です。


まもなく夏。梅雨入り前の恒例、お祭りになりつつある富士24時間レース。

今年で5回目を迎えた。天候も安定した予報だったこともあり、3万8千人ものファンが集まった。特に際立ったのがキャンプエリア。多くのテントが張られ、昨今のアウトドアブームもあってか、もの凄い数であった。

特筆すべきは富士スピードウェイが販売したコールマンのテント、シート、ランタンが観戦券とオートキャンプ使用料込みのセット!

なんとキャンプ初心者やツールを持っていない人でも、その場に車で乗り付ければ新品のテントが用意されているのだ。お値段は少々するが、なんともキャンプ初心者にはありがたいパッケージだ。

日本にも24時間レースでの楽しみ方が定着していってるようで本当に嬉しい。15時のスタートシーンで「ブシュ!」と乾杯。夕方には肉を焼き始める。闇夜が近づくとともにテンションもアップする。

夜の10時にはかなりの酒量を浴びてテントにゴロン。エキゾーストノートは最高の子守唄。こんな刺激的、非日常のキャンプはなかなかないだろう。

朝焼けとともに目を覚ませば、「まだ走ってるの?笑」

富士24時間レースは観客のマナーもすこぶるいいと言う。レース後のゴミ散乱は少なく、海外のそれとは比較にならない。さすが日本人である。

アメリカのナスカーを取材で行った時のこと。レースを見ながらバドワイザーは定番なのだが、飲み干すと観客席の下へ放り投げるのだ。最初はそれを見て、「なんちゅーマナーや!」と怒ったのだが、レースが終わるとゴミ収集車がやってきて、観客席の下のゴミを一気に回収。なんとそこはゴミ箱だったのだ。「ん~効率的!」

今回の24時間もBMW M2 CS Racingで走ったのだが、相棒の木下アニキは前週のニュル24時間から2連チャンとなった。ところどころでニュルかぶれが出る。笑

夜の謎のFCY。
「これなんでFCYなの?トラブルマシンもないし……」
「あ、1コーナーで少しオイルが出てるようです。」
と無線が入る。おいおい……。

オウンリスクのドイツと比較したくもなる。そもそもノーヘル、Tシャツで誰もが走行可能なニュル北コース、バイクもバスも一緒だ。アニキいわく、とにかく今の日本は過保護すぎると。

照明もそうで、十勝24時間を経験している我々は「富士はやたらと明るい」と言うのだが、今どきのドライバーは「これで明るいんですか!?」と驚く。

何かアクシデントが起きた際に主催者やオペレーション側の責任を追求しがちな日本社会。そりゃ些細なことでもFCYやSCが出てしまうのも致しかたない社会背景ではある。

筑波サーキット、ジムカーナ場で開催される「砂子塾」。最高でも80km/hにも満たない速度域なのだが、サーキット側はヘルメットの着用をお願いする。
「おいおいこんな安全な広場で?」
そこもやはり日本的な考えなのだが、だってニュルでさえノーヘルだよ! なんて理論は通用しないのである。笑

話はだいぶそれたが、M2 CS Racingは今年からワンメイクシリーズがスタートし、MINIチャレンジと共催で20分プラス1Lapのスプリントレースが行われている。

86ワンメイクでは物足りないジェントルマンに、でもポルシェカップはスピードも価格も……。そんな人にはうってつけの車格で、富士の最高速265km/hで1800万円。86とポルシェカップのちょうど中間に位置するお手頃マシンなのだ。

それでいて今年の24時間レースもなんと総合13位でノートラブルで走りきってしまう速さと強さを持ち備える。ABSやトラコン、マスターバックにエアコン装備で、操安性も抜群である。

すでに砂子塾生も購入し、来期への参戦を見据えたトレーニングが開始されている。
ちょっとしたBMW M2 CS Racingのプチブームはもうそこまで来ている。


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