第9回:砂子塾長の熱血ドラテク持論

インストラクターとして、アマチュアからプロまで数多くのドライビングを見てきた砂子塾長の連載コラム自身の持論をもとに、スキルアップを願う読者にエールを贈る第9 回目は『キャッチアップスピードの高め方』についてスキー、スノーボード、マウンテンバイク、サーフィンなどのスポーツがドライビングの上達に効果的と説く。

yomimono9sunakojyuku

キャッチアップスピードをスポーツで高めよう!

皆さん、夏を楽しんでいますか~。先日、ジェットブレード(ジェットバイクの吐き出す水圧で空飛ぶアレ)に10数名の友人達を誘って楽しんできた。メンバーはほとんどが初体験。オレの興味はというと、年齢とスポーツ歴に対してのジェットブレードのコツをつかむキャッチアップスピードとの相関性。

結果は… やはり、一番のキャッチアップキーは年齢。つまり若さが上達のキーとなっており、過去・現在のスポーツ歴はあまり関連性がなさそうだった。単純にバランス力を求められる、このようなモノに「こういう場合はこうする」といった、頭で考える理論は即効性がなく、何も考えずに三半規管と体幹にゆだねることが重要なようである。

今回のテーマはスバリ!スポーツと脳と運動神経。実はプロドライバーは運動神経がいいとは限らない。他のスポーツを一緒に過去やった中で正直、相対的に運動神経がいいと思ったプロドライバーはあまりいない。山田英二しかり青木孝行しかり(ゴメン笑)。

つねづね、運動神経にはジャンルが存在すると思っている。球技全般の運動神経、横乗りボード系運動神経、そしてクルマにまつわるのが原動機やタイヤを転がして操作する運動神経。

3つ目の運動神経こそがプロドライバーに必要とされるものである。以前のテレビ番組で、当時は西武ライオンズ在籍でその後メジャーリーグでも活躍した松井稼頭央選手がウェイクボードに挑戦するという企画があった。その結末はというと… 意外にも立てずじまい。運動神経には種類があることを改めて確信した出来事だった。

前述のプロドライバーの運動神経だが…。では、皆さんの身のまわりではどうであろうか?クルマの運転が上手い人の特徴はやはり運動ができる人という傾向ではないだろうか?特殊なプロフェッショナルの世界は例外として、一般的には運動神経とクルマのドライビングは十分な関連性がある。

もともと脳を育て、IQを上げるにはスポーツがいちばん効果的とされ、抽象的思考や意識のコントロール法も育むといわれている。またスポーツキャッチアップの最善の上達が『模倣』だ。上手い人の真似をする。見た動作をそのまま身体でコピーするのだが、やはりここは運動神経が必要な場面であろう。脳がイメージした身体の動きそのままに体現する。

ドライビングでは『ヒール&トー』はまさに模倣から習得すべき課題だ。個人的には『トー&サイド』(実際に使う足の部位と優先順位から)と呼んでいるそれは、膝の使い方、どの場所でスロットルをあおるのか、など、『百聞は一見にしかず』である。レブスピードの付録DVDなどでプロの『トー&サイド』をしっかり見て模倣してもらいたい。もちろん、東京バーチャルサーキットに来ていただければ、シミュレーターのすぐ横で、間近にお見せできますが…(笑)

アマチェアのキャッチアップスピードを観察すると、相対的に過去スポーツ歴が多少は関係しているようだ。過去のスポーツ(筋トレは別。さほど脳を使わない)経験豊富な脳は模倣やイメージ体現に優れ、また解析・フィードバック思考回路が備わっている傾向だ。

では、モータースポーツ脳を育てやすい、ほかのスポーツは何であろうか?道具を使って自分が動くスポーツが類似性を感じる。スキー、スノーボード、マウンテンバイク、サーフィンなどが思い浮かぶ。まったく検証はできていないが、オレとしてはそれらのスポーツを独断で読者諸君に推奨していこう。

ドライビングが上手くなるサプリメントなんて存在しない。多少の努力と楽しみが脳とドライビングを育てる。もう一度いわせていただこう。「スポーツは脳を育てる」のだ。レブスピードはドライビングに役立つ処方箋を探し求める雑誌だが、そこにオレは「Do sports!」の提案をしたい。キャッチアップスピードを高めてみないか!

Revspeedで毎月コラム掲載